会長挨拶

藤巻 素純
今日は、再生可能エネルギーの現状と課題についてお話したいと思います。
再生可能エネルギーとは、枯渇することなく永続的に利用できるエネルギーのことを指します。「自然エネルギー」「グリーンエネルギー」とも呼ばれます。
温室効果ガスを排出しないため、石化燃料を代替えするクリーンなエネルギーとして注目されています。日本の温室効果ガスの排出量は、2.7%です。中国が、26.6%、アメリカ12.9%、EU9%、インド6.7%。ロシア4.8% です。ちなみに、2050年に温室効果ガス削減の目標を達成しても、気温は0.0063度しか下がりません。
再生可能エネルギーの代表的なものとして、水力発電、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、地熱発電、太陽熱発電があります。
まず日本の現状ですが、日本のエネルギー自給率は、2021年度は13.3% でした。2022年度、石油を中東より90% 以上、石炭、天然ガスをアジア・オセアニアより70 % 以上輸入しています。
2022 年度の一次エネルギー供給構成は、化石燃料が83.5%、再生可能エネルギーは、10.3%です。
今、政府は、2030年度までに再生可能エネルギーの比率を36から38%に主力電源化させようとしています。
ここで再生可能エネルギーの課題ですが、
1. 電力の安定供給が難しい。
日照時間が、世界平均より短いことがあります。
2. 設置場所が限られて少ない。
日本は、台風、豪雨、豪雪、地震といった災害が多いので、設置する場所が限られてしまう。
3. 発電コストが高い。
日本固有の地理や天候の問題から、大規模な建設、運用を行うとコストが高くなり、買取価格が他の先進国と比べると太陽光発電で2倍、風力で3倍になります。
4. 電力系統の制約がある。
電力生産から消費までの一連の設備全体を新設、増強をおこなうことで、事業者と利用者の負担が増えてしまいます。
5. エネルギーの変換効率が悪い。
化石燃料を用いた火力発電はエネルギーの変換効率は約35~43%です。これに対して、太陽光発電は、約10%、風力発電が約25%、地熱発電が約8%、バイオマス発電が約 1% です。
以上が再生可能エネルギーの現状と課題です。
なお、太陽光発電については、メガソーラー発電所を作ることで、里山が破壊されているのが現状です。使用済みの太陽光パネルの処理の方法も問題となっています。
いずれにせよ、エネルギー問題は、国の根幹の問題です。4つのテストに照らして、エネルギー政策のありかたについて、真剣に考えていかなければならないと思います。