ゲスト卓話
山梨の看護医療
山梨県立大学 看護学部 教授 内田 一美様
山梨県は、人口減少の現状に加え、高齢化率が 30% を超えている超高齢化社会です。そのため、国の政策で病院の病床数が削減されたり、病院が偏在しているという状況もあります。それから医療職の人員不足、外国籍の方が日本で国家資格を取得して介護職として働くという制度も出てきております。そういった方たちをどう支えていくかも山梨県の課題だと思います。また、特に峡南医療圏の病院閉鎖が進んでいることも、山梨の中で大きな課題になっております
医療とか看護と聞くと、病気や怪我を治すものと捉えがちですが、病気にならないように予防し、介護を予防するなど生まれる前から亡くなるまで、生涯にわたって少しでも健やかな暮らしを目指すのが保健医療です。
平成 29 年山梨県では 58.9% の人がかかりつけ医をもっていましたが、令和 2 年になって 67.4% とじわじわと上がってきている状況です。かかりつけ医をもっていることの利点は、具合が悪くなった時に紹介状を書いてもらって大きな病院に行けること、具合が悪くなって、かかりつけの病院に通えなくなった時に往診をしてもらえることです。往診と訪問診療は違いますので、人生の最期を家で迎えたいと思った時に訪問診療をしてくれる医師とつながることはとても大切です。家の中で眠るように亡くなりたいとおっしゃる方がいっぱいいますが、もし、家で亡くなったら、警察が入る可能性があります。ある患者の方には、訪問診療医をきちんとつけ、病院にもつなげて、死亡の申告をしてもらうというつながりを作りました。だから、皆さんも、自分たちの将来を考えるときに、どのように誰とつながっていくかがとても大切になりますし、今の時代は一人暮らしで目が見えなくて息苦しい生活をしていたとしても、いろんな人が支えて最期を迎えることができるという強みも持っていると思っていただけたらと思います。
こういう生活を整えていくために、看護師が力を発揮する時代が来ております。住まいと生活、医療と介護、生活の質の見通しを立てられる看護職は、全体が見えるからこそ、今回の課題に近づくことができます。地域の人たちがつながるためには、いつでもどこでも行けて、つながれる場所、そんなものができたらいいなと思っているところです。昔あった移動訪問販売とか、移動図書館とか、そんな感覚で近くに行けるといいなという企画を考えたりしています。
私からのメッセージは、新しい発想が未来を拓く、です。できる人ができることをできることから始めていく、それが地域共生社会を作り上げていくことにつながると思います。医療者だけが医療する、看護職だけが看護をするではなくて、皆さんそれぞれの持っている力を生かし合いながら、新しい発想をすることが未来を拓くと信じております。